建築業界で現在働いているけれど、今後独立を考えている方へ。
「一人親方」と「フリーランス」の違いはご存じでしょうか?いずれも個人事業主になりますが、微妙な違いがあるためこの記事では徹底的に説明していきます!
そもそも、一人親方って何?
一人親方とは、労働者を雇わずに特定の事業をおこなう人を言います。そのため建築業の職人が独立すると一人親方と呼ばれることもありました。
現在は一人親方の内容が厚生労働省により定義されています。例えば、労働者を雇ったとしても年間100日未満しか雇った方は働けません。業種も建築業・林業・水産業などの7種類に特定をされています。
また基本的には個人で仕事を請け負うというのが一人親方の特徴です。
なので企業に雇用されて働く労働者ではなくなり請負契約となるため、仕事の進行手順や量は自分自身で決めることができます。報酬は仕事が完了して支払われるシステムです。
フリーランスって何?
次にフリーランスの働き方の詳細を説明します。フリーランスとは一般的に個人で業務委託の仕事を受注して報酬を得るという働き方をしています。
企業や団体には属さずに雇用契約も結ばないためフリーランスも一人親方同様に労働者とはなりません。仕事の種類や契約内容によっては、請負契約や準委任契約が結ばれることもあります。
フリーランスをしている方の中には会社員をしながら空いた時間を使って副業として仕事をしている方もいます。
自分のスキルや専門知識を活かして、仕事内容によっては場所や時間を選ばずに自由に働けるのもフリーランスの特徴です。
現在の一人親方の現状
現在の一人親方の現状の働き方についてみていきましょう。
一人親方は急な仕事の依頼がくることがあります。
しかし一人でやっているため別の仕事をしている最中であれば断らなければなりません。タイミングよく依頼がくればいいですが重なることもあります。
また自分で仕事をしているので就業時間を決めることもできます。会社に勤めているわけではないので終わったらすぐに現場を上がることも可能です。
そしてもし仕事が早く終わったら帰ることもできますし、別の現場に行って仕事を追加するなどスケジュールの変更もすぐにできます。
なんといっても仕事の内容や方法を自分自身で決めることができるので、やりやすいように仕事ができます。
報酬に関しては会社勤めではないため給与や時給ではありません。報酬として工事代金や賃金として支払いがされます。
仮に仕事のミスをしてしまった場合や、作業の遅延による損害は自分自身で負担をしなければなりません。
また現場で使用する機械や器具は自分で持ち込みをし、同様に材料等も自分で調達をします。最後に報酬は出来高見合いで支払われます。
一人親方に対する今後の方向性
一人親方とフリーランスの違いや一人親方の現状について説明をしましたが、今回は一人親方をやる上での方向性をここにまとめていきます。
働き方について一人親方の場合はほぼ一人でやる仕事が多いのでどうしても過重労働になってしまうことがあります。
自分の体力に合わせてスケジュールを組むことも大事ですが、状況によっては無理をしなければならなかったり、責任を伴うことも多いので無理をしてしまう方も中にはいます。
しかし2019年に働き方改革として有給休暇が義務化され、2012年から建築業の社会保険加入対策に続いて、政府はこれまで以上に建築業の処遇改善や社会保険加入対策に本格的に力を入れています。
そして適正な一人親方として仕事をするためには、実績を伴う請負契約を結束する必要があります。
実際に請負契約というのは元請会社から仕事を拒否する自由があるか、勤務時間の拘束があるか、仕事の機械や資材を自ら用意しているのか、報酬が一般的な従業員と比べて高額であるかなどの基準を満たしていることがポイントです。
国土交通省では、適切な一人親方を請け負った仕事に対して責任をしっかり持ち完成させる技術力と責任感のある方が個人事業主であると定義されています。
他にも建築業許可を取得することで請負金額が変わります。
建築業許可がないと請負金額が500万未満の工事しか受注ができません。また建築許可を取得するためには社会保険の加入が義務付けられています。
なので今後元請からの工事を受注して適正な一人親方としていくためには、社会保険の加入をしたうえで建築業許可を取得することが必要になります。
社会保険同様に一人親方としての活動で必要なのが労災保険です。
建築現場では常に事故と隣り合わせなため労災保険に加入していないと事故による損害賠償を負担しきれない可能性があり、元請会社から仕事を発注されなくなってしまうこともあります。
ただ一人親方の場合は特別に労災保険に特別加入することができるので、しっかりと加入をして安全に仕事を受注できるように心がけましょう。