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外壁サイディングの色選びで失敗しないために

外壁の色は、家の第一印象だけでなく「手入れのしやすさ」や「年数が経った後の見え方」にまで影響します。ところが実物は屋外で大きな面積に広がるため、カタログの小さな見本での判断とは必ず差が出ます。朝と夕方で光の色が変わり、晴天と曇天で陰影も変わる――こうした条件の違いが、同じ色名でも「思っていたより明るい/暗い」「汚れが目立つ」と感じる理由です。

もう一つ忘れがちな要素が、周辺環境と固定色です。屋根・サッシ・玄関は交換頻度が低く“動かしにくい色”。通りの建物や植栽、外構の色とも調和が必要です。外壁色だけを先に決めると、完成間際に「屋根とぶつかる」「玄関だけ浮く」といったズレが起こりがちです。まずは固定色を起点に、外壁をつなぎ役として位置づけると、判断が一気に楽になります。

さらに、汚れと退色(色あせ)への備えも重要です。真っ白や鮮やかな色は映える一方、雨だれ・粉じん・紫外線の影響が目につきやすい傾向があります。長くきれいに見せたいなら、汚れの色に近い中間の明るさ・低めの彩度を軸に、上下や縦での貼り分け、帯や見切りの使い方で表情を整えるのがおすすめです。

本記事では、こうした実務の視点から、色選びの基本(汚れ・退色・方角・固定色)をはじめ、二色の貼り分けの考え方屋根・玄関・サッシとの組み合わせ方地域景観とのなじませ方よくある失敗と回避策までを順番に解説します。最後に、A4以上の実物見本を屋外で確認する手順や、張り替え・重ね張り・塗り替えといった工法別の注意点、文章でイメージできる配色事例もまとめています。

「どの色が“正解”か」よりも、「家族が毎日見る景色として納得できるか」が大切です。KRT外装は、現場の納まりや役物の色まで含めて、後悔のない選び方を一緒に組み立てます。まずは、あなたの暮らし方と周辺環境を頭に思い浮かべながら、次の章から迷わない進め方を確認していきましょう。

まず押さえたい「色選びの基本」

最初に“外さない軸”を決めると、候補は自然に絞れます。ここでは汚れ・退色・環境(方角/湿気)・固定色(屋根/サッシ/玄関)の4軸で、見た目と維持の両立を図る基礎を整えます。外壁は毎日目にする“顔”。数年後も違和感が出ないよう、中間色を起点に「少し明るい/少し暗い」を往復して妥当点を探すのが王道です。

汚れ・雨だれ・粉じんが目立ちにくいか

要因:汚れは泥はね、排気の粉、コケ、雨だれの筋。明度・色相の差が大きいと強く目に入ります。
選び方中明度の灰/砂/薄茶は、汚れの色と近く目立ちにくい。真っ白は雨だれ・コケが映えやすいのでアイボリーへ半歩寄せる、濃紺・黒は粉じんとのコントラストに注意。
チェック:道路沿い/工場近くは濃色の“白残り”に注意。雨だれが出やすい入隅・サッシ下は、色だけでなく水切りの納まりも同時に確認すると安心。
「サイディングの種類から色の出方を知る」https://krt-gaisou.com/service/

色あせ(退色)の出方を想像する

要因:紫外線量、顔料の特性、艶の有無。高彩度は変化が目に入りやすい。
選び方低彩度のグレー/ベージュ/モカは変化が馴染む。赤系・鮮やかな青は長期での印象差が出やすいので、一段落ち着いた彩度が無難。
チェック:南西面の退色を想定した“将来見本”として、候補色の一段明るい写真も併置して家族で比較。

方角・日射・湿気の影響を織り込む

要因:南西面=日射強、北面=湿気によるコケ、東面=朝の青白い光、夕方の長い影。
選び方:南西面に濃色は変化が目立ちやすい→ワントーン落とす。北面は緑汚れが目立ちにくい中間色。東西面は時間帯の差を想定し、明度差が小さい二色構成だとブレが抑えられる。
チェック:候補色は屋外で朝/昼/夕それぞれ確認。

屋根・玄関・サッシとの関係を“逆算”で決める

要因:屋根・サッシ・玄関は交換頻度が低い固定色。外壁は“つなぎ役”。
選び方:屋根が黒/濃グレー→砂色/中明度グレー。屋根が茶→アイボリー/クリーム/砂色。サッシが黒なら外壁を中間色で柔らげる。
チェック:玄関ドアの木目・床タイルの色も含めて3点セットで整合をとる。
「屋根・板金との取り合いも含めた全体設計」https://krt-gaisou.com/service/

汚れが目立ちにくい定番カラーと“見え方”のコツ

ここでは中間色ベースの実用配色と、見本と完成の差を縮める面積効果、素材凹凸の活かし方を具体化。見本合わせではなく、屋外の“実写”を想定した確認手順を示します。

使いやすい“中間色”ベスト5(採用理由まで)

  1. スモーキーグレー:排気・粉じんが目立たず、黒屋根〜茶屋根まで受け皿になる万能。

  2. 砂色(サンドベージュ):雨だれ・泥はねが目立たない。外構の緑と調和しやすい。

  3. モカ(薄茶):木目ドアと相性良。温かみを足せ、景観にも馴染む。

  4. ウォームグレー:寒色の冷たさを避けつつ引き締まる。冬場の見え方が穏やか。

  5. ライトカーキ:緑が多い地域で背景に溶ける。サッシ黒との相性も良好。

面積効果――大きな壁面は“1段明るく見える”

手順:A4以上の見本を屋外の日向/日陰で見る→外壁に当てて少し離れて見る→家族で〇/△/×を付ける。迷ったら半歩暗い候補を残す。
落とし穴:室内蛍光灯の下で決めると、屋外で“薄く”感じやすい。
内部リンク(段落末)「素材で変わる色の見え方を詳しく」https://krt-gaisou.com/column/1384/

凹凸柄とフラット面で色の選び方を変える

要点:凹凸柄=陰影で表情が出る→一段明るめでも間延びしない。フラット面=“のっぺり”回避に少し濃い目
手順:柄見本は斜めからも見る。影の出方が分かると実際の表情が想像しやすい。
「縦張りと横張りの違いを見る」https://krt-gaisou.com/column/1381/

二色の貼り分けで“高見え”させる方法

二色は「難しい」ではなく「手順通り」。上下または縦で切り替え、差し色は一点が基本。境界の見切り材とサッシ色の合わせ方で仕上がりが一段上がります。

上下貼り分け(腰下を濃くして安定感)

狙い:重心を下げて安定、泥はね対策にも有効。
手順:下=濃色/上=中間色、帯(見切り)=サッシ同系。帯位置は床からの高さを図面で固定。
チェック:玄関ポーチの段差に帯がかからないか、外構の高さと干渉しないかを事前確認。

縦の貼り分け(出隅や玄関まわりで切り替え)

狙い:玄関側を濃色、奥を明色で視線誘導と奥行きを両立。
手順:切り替えラインは出隅/玄関ポーチ柱など“自然な垂直線”に沿わせる。
チェック:雨樋・配管の位置と干渉しないか。切り替え部の役物色もサッシ同系で統一。

差し色は“1か所・1色”で統一

狙い:印象を引き締めつつ、全体の統一感を崩さない。
手順:庇・玄関枠・帯のどれか一点だけ木目や濃茶を選択。
チェック:差し色が二か所以上になっていないかを最終確認。
「貼り分けラインと役物の納まり相談」https://krt-gaisou.com/service/

屋根・玄関・サッシと“組み合わせ”で迷わない

外壁を主役にしすぎると色の衝突が起こります。固定色を先に確定→外壁は“つなぎ役”の順で決めると、短時間で整います。つなぎ役は中明度・低彩度が基本。

屋根が黒・濃グレー

外壁:砂色/ウォームグレー/モカ、玄関:濃い木目で温度感。
理由:強い屋根色の受け皿として中間色が機能、サッシ黒でも重くならない。

屋根が茶系

外壁:アイボリー/明るいベージュ/薄グレー、玄関:木目同系、:濃茶を少量。
理由:同系でまとめ、帯で輪郭を締めると上品。

屋根が明るめ(シルバー・薄グレー)

外壁:中明度グレー/ライトカーキ、玄関:濃い木目を差す。
理由:外壁で落ち着かせ、玄関の質感でぼやけを回避。
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地域の景観・通りの雰囲気も“正解のヒント”

家単体の完成度だけでなく、通りの連続感が心地よさを生みます。景観との関係を最初から設計に入れると、完成後の“浮き”を避けられます。

近所の色を“3色拾う”

手順:普段使う道で、外壁・屋根・門塀の代表3色をスマホで記録。
判断:自宅の外壁はその中間に置くと馴染みやすい。景観条例がある場合は明度・彩度の上限を事前確認。

植栽・外構との相乗効果

狙い:四季の変化を味方につける。
実例:砂色+緑の植栽=映える。濃紺+白砂利=映えるが維持難易度が上がる→色差を一段抑えると安定。


よくある“失敗例”と回避策

失敗は「理由」と「対処」をセットで把握すれば怖くありません。ここでは頻出の4パターンを処方箋付きでご紹介します。

白すぎて汚れが気になる

対処:アイボリー/砂色へ半歩、腰下濃色で泥はねを受ける。雨だれ対策に庇・水切りの納まりも確認。
再発防止:北面・1階周りでA4見本+水を霧吹きして見え方を確認。

濃色で夏の暑さが心配

対処:庇/遮熱ガラス/断熱材の組合せで体感改善。外壁は一段明るいにして、帯・枠で引き締める。
再発防止:南西面の高所は濃色を避ける配置計画も検討。

二色の差が強すぎて落ち着かない

対処:明度差1.5段に抑える、境界に帯材を入れて自然につなぐ。
再発防止:室内での見本比較だけで決めない。外で離れて見る。

見本と完成で印象が違う

対処:A4以上の見本を朝/昼/夕晴れ/曇りで確認。半歩暗い案も残す。
再発防止:家族で**決定表(〇/△/×+理由)**を作り、ブレを可視化。
「塗り替え時の色と塗料の選び方」https://krt-gaisou.com/column/1417/


窯業系・金属系で“色の出方”は変わる

同じ色名でも素材・艶・模様で印象は変化します。ここを押さえると「思っていたのと違う」を大きく減らせます。

窯業系――マット寄りで影が出やすい

特性:凹凸が影を作り、中明度・低彩度でも表情が出る。
確認:木目/石目は斜めからも見て陰影を把握。
相性:二色は明度差控えめが上品。
 https://krt-gaisou.com/column/1336/

金属系――反射が大きく天候で印象差

特性:晴天=締まる、曇天=柔らかく見える。
確認艶(3分艶/艶消し)まで見本で比較。濃色は傷・ほこりの見え方に配慮。
相性:サッシ黒なら外壁は中間色
で受け、庇や帯でラインを作る。
「サイディングで人気の外壁材とは?種類や特徴を解説」→ https://krt-gaisou.com/column/1384/

張り替え・重ね張り・塗り替えでの“色の考え方”

工法の違いで納まり・見切り・厚みが変わるため、同じ色でも完成印象が違います。色だけでなく役物色まで含めて設計しましょう。

張り替え(全面交換)

利点:二色計画が立てやすい。
手順:出隅/玄関で切替、帯位置・役物色を早期確定→工程表へ。
確認:足場解体前に写真と現物で整合をとる。
https://krt-gaisou.com/service/

重ね張り(既存の上に新設)

課題:既存との段差・見切り。
手順帯色=サッシ同系で一体感、外構・植栽との相性も再確認。
確認:既存色が残る部位との色ズレに注意。

塗り替え

利点:コスト最適。
手順:凹凸柄は一段暗めでも表情が出る。二色は明度差をはっきり、境界は帯材で。
確認:試し塗り範囲は日当たりが違う面で2か所以上。

色選びの“実行手順”チェックリスト

迷いを減らすには順番決めが大切です。

① 屋根・サッシ・玄関の“動かせない色”を先に決める

写真と現物で色味確認。外壁はつなぎ役に回す意識。
「サイディングの縦張りと横張りの違いをわかりやすく解説!」→ https://krt-gaisou.com/column/1381/

② 同系で明度違いを3段用意する

明るめ/中間/少し濃いの3案を並べ、家族で役割分担(賛成/反対理由を書く人を固定)すると決定が早い。

③ A4以上の実物見本を屋外で確認

朝/昼/夕、晴れ/曇りで見て、面積効果と反射を体感。迷ったら半歩暗い案も残す。

④ 二色案は“上下 or 縦”で1案ずつ

ライン位置・帯色・端部処理までスケッチ化。役物色=サッシ同系が基本。

⑤ 最終案を家族で評価して確定

「汚れ・退色・景観」の3軸で〇/△/×。半年後の自分も納得できる案を選ぶ。

文章で分かる配色事例(イメージ再現)

写真の代わりに、出来上がりの景色を文章で描写します。候補の当てはめの参考にしてみてください。

落ち着いた二色(屋根:黒/サッシ:黒)

外壁上:砂色/外壁下:モカ/帯:/玄関:濃い木目
効果:重心が下がり安定。サッシ黒でも重くなり過ぎず、雨だれ・泥はねも腰下で受け止めやすい。

明るめ一色+差し色(屋根:茶/サッシ:ブロンズ)

外壁:ウォームグレー/玄関枠:木目濃色/庇:濃茶
効果:凹凸柄の陰影が生き、外構の緑が映える。夕方の斜光でも柔らかい表情。

よくある質問

白は本当に汚れやすい?

はい、どうしても汚れは目立ちやすくなります。。アイボリー/砂色へ半歩寄せる、腰下濃色で対処。
塗装選定の基本 → https://krt-gaisou.com/column/1417/

濃色は夏に暑い?

庇/遮熱ガラス/断熱材とセットで考える。色は一段明るくし、帯・枠で締めるのも有効。

二色は古く見えない?

明度差を抑え、帯や枠をサッシ同系で統一すれば長く上品にみえます。

まとめ

外壁の色選びは、好みだけで決めると後悔が残りやすい作業です。この記事でお伝えした 「固定色からの逆算」「汚れ・退色の見え方」「面積効果の確認」「二色の貼り分け設計」 を順に踏めば、迷いは確実に減らせます。とはいえ、最終判断は「家族が毎日見る景色として納得できるか」。そこで KRT外装 では、完成後のギャップを小さくするために、次のような実務的サポートをご用意しています。

  • 色候補3案のご提案:屋根・サッシ・玄関の固定色を踏まえて、中間色を軸に明度違いでご提示

  • A4以上の実物見本の屋外確認:朝・昼・夕での見え方を一緒にチェック

  • 二色貼り分けの線引き設計:上下・縦の切り替え位置、帯色・役物色までスケッチで確認

  • 工法別の見え方調整:張り替え/重ね張り/塗り替えごとの納まりと色の出方を事前に共有

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お問合せ時に、次の3点だけお知らせください。

  1. 現在の外観写真(正面・斜め・近接)

  2. 屋根・サッシ・玄関の色(分かる範囲で可)

  3. 好みの方向性(明るめ/落ち着き/木目を活かしたい など)

「完成後に明るすぎた」「汚れが目立った」という不安を、実物見本と設計の順番で解消しましょう。
KRT外装 は、色決めから納まりまで“現場目線”で伴走します。

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